2006年08月15日

首都圏大規模停電を事業継続の観点から見ると

昨日2006年8月14日に首都圏で起きた大規模停電では、鉄道や信号、エレベータ、通信、銀行ATM、デパート、商業施設などが大きな影響を受けました。想定外の規模の停電であったと各企業は伝えております。

確かに東京メトロのように東京電力の送電を頼りに基幹業務をこなしている企業にとって、このような停電は想定外としか言えないのかもしれません。JR東日本のように自社発電所で電力をまかなえるほどの体力もないと言うのが正直なところだと思います。しかし、既に市民の足として日本の都心部を縦横に走る地下鉄を抜きにしては、首都機能を安全に守るとは言い切れないと思います。今後、鉄道各社は、東京電力からの受電とは別に、災害時用に独自の電力供給体制を保持していくことが求められてくると思います。

東京電力は、今回の事故を想定外と伝えました。通常1系統がストップしても、もう1系統で補うことを想定しているとのことです。よって、本線と予備線の2系統とも損傷を受けることは想定していなかったとのことです。しかし、その両方がここまで接近して流れている以上、7年前の埼玉県内での自衛隊機墜落事故を持ち出さずとも、両方とも損傷を受けるリスクを意識しなければならないと思います。ただ単にリスクとして認識していなかっただけのことなら、インフラ企業としての責任は重大だと思います。想定していたけれど、その対応コストとの見合いで見送ってきた、という説明の方が、まだ納得がいきます。その点で、東京電力は確かに一次被害者ではありましたが、今後のテロを含めた災害対策をあらためて検討し、国民にディスクローズしていくことが必要となるでしょう。このままうやむやに終わってしまってはならないと思います。

信号機約1,150ヶ所が止まるという事態も防げなかったのでしょうか。これは、発電装置つきの信号が普及していないことにつきます。災害が発生した後の二次災害を防ぐためにも、防災予算を確保し、このような国民の生命維持に重大な影響を与える機器類の災害対策を講じていくことが必要だと思います。

エレベータについても、約100件で閉じ込めが発生したとのことです。 ビルの非常用電源及びエレベータ備え付けのバッテリーで最寄階まで動く仕組みが存在するのですが、結果、この仕組みを保持していなかったエレベータがことごとく止まりました。建築基準法でこれらの設置を義務付けられていないことが要因であると感じました。

民間企業では、今のところ大きなシステム障害について耳に入ってきていません。日経平均などの株価指数算出システムの自家発電装置の機能不全のため、投資家や証券会社などに広く影響が出たことがクローズアップされている程度でしょうか。しかし、一部ATMが使用できなくなった銀行や、携帯電話が使用できなくなった通信会社など、国民生活に影響が出た例も若干あったようです。

総括してみますと、以下のことが言えると思います。
1. 本番サイト及びそれに準ずるサイトにおいて、重要な業務を行う機器類を稼動させるための非常用電源設備を保有することが必須である。
2. 非常用発電装置を保有しているだけでは、本当にそれを使うときが来た時にうまく稼動しない可能性があるので、年に1回以上の災害訓練を行うことが必要である。

実際に災害が起こったと想定してシナリオを作り、それに沿って復旧訓練を実施していくこと、電源の供給やシステム機器類の立ち上げに問題がないことを常に確認しておくことが重要だと感じました。それらが実践的な事業継続計画の第一歩であると思います。

<関連書籍>
クリーンルームにおける停電、瞬時電圧低下現象対策 半導体製造など工程の長い製造現場で「瞬低」や短時間でも「停電」が発生するといろいろな製造環境で製品の品質に及ぼす影響は非常に大きなものになる。その対策法や対策装置、雷対策などについて解説する。(「MARC」データベースより)
posted by かおる at 08:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 事業継続 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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